新鮮野菜が食べられるのも包装あればこそ

食品包装の難しさは、その食品の多様性に起因していると言われています。その多様性について改めて考えてみるのも食の安全を知る上でも大事なことではないでしょうか。

食品には大きく分けて「生鮮食品」「穀類や豆類」そして「加工食品」と三つに分けるのが通例になっています。生鮮食品の代表は野菜や果物と言った農産物から牛乳などの畜産物、魚介や海藻などの水産物とそれこそ多岐にわたり、まさに鮮度が命と言われる食品になります。

野菜の場合、OPP袋という透明で張りのある袋を利用しての包装が一般的になりました。野菜の新鮮さを保ちつつ、外から商品の状況を確認しやすいのが1番のメリットではないでしょうか。穀類や豆類はどちらかと言えば乾燥食品と言われ、水分を特に嫌う食品と言えるかもしれません。

加工食品にはさらに細分化され「多水分食品」「中間水分食品」「乾燥食品」と分類されるのが一般的のようです。

多水分食品の代表は豆腐、中間水分食品では味噌や醤油など、乾燥食品は即席麺、お茶、海苔などがここに入ります。これら分類した食品の特性にあった包装技術が生み出されています。

生鮮食品は収穫から食卓に届くまで、常に呼吸を維持させるため酸素透過性の優れた包材が使用されます。

一方加工食品ではそれぞれの成分や特性に合わせた包材が使用されています。さらに保護機能を維持しつつ、それぞれの食品に適した外観形状の検討もなされています。

醤油の容器一つとっても、かつての瓶詰からペットボトルへそしてパウチタイプへと変遷するなか、約40%の軽量化が達成された(ペットボトル→パウチタイプ)と言われてさらに容器二重下で品質に維持向上も達成しています。

このような最新技術を駆使した包装技術の一方で、昔ながらの包装資材も見直されており、これも環境にやさしい包装への取り組みの一つと言えるのかもしれません。

徐々に増えているアルミニューム缶


未だ食品包装容器の上位に輝いているのが金属であり、金属缶は食品用容器にはなくてはならない存在となっています。この金属缶がその首位の座を確保できるのも数々の保存に対する優位特性と大きな二つの技術開発によるところが大きかったという事はあまり知られていないかもしれません。

その技術開発の一つと言われるのがDI法(ドロー・アンド・アイロニング法)という缶胴体と底を一体成型可能にした技術です。アメリカで1955年に開発されたもので、もう一つも同国で1963年開発されたEOE(イージー・オープン・エンド)という技術です。いずれも一般の人には余り馴染みのない名前かもしれません。

DI法は弾丸の薬きょうから思いついたと言われるもので、缶の胴体と底を一体成型してしまう加工技術で、通常のアルミ缶は業界では「DI缶」とまで呼ばしめるほどのインパクトある技術だったことがわかります。

様々な缶包装


一方のEOEは道具無しで蓋が開けられるという、これまた画期的な技術で当時は缶切りや専用のオープナー(穴あけ器)を使わないと缶を開けられなかったことを考えるとなんとも消費者にとって有難い開発でもありました。

EOEにはいくつか種類があり既に流通している商品に適用されているので、ここで挙げればすぐ、「あ、あれか」とわかって頂けることでしょう。

その一つが缶蓋の一部を開ける「パーシャルオープンエンド」と缶蓋全体を開ける「フルオープンエンド」という2方式。

パーシャルオープンエンドはさらにタブを引っ張って開けそのタブは蓋の一部とともに切り離される「プルタブ式」と、タブが本体に残っている「ステイオンタブ式」があります。

昔の缶コーヒーがタブごと取れてあちこち捨てられていたものが、最近ではタブが本体についたまま飲めるタイプへ切り替わっているのは皆さんも体験済みでしょう。これはまさに加工性の良いアルミ材ならではと言っていい開発かもしれません。

現在のアルミ缶はさらに改良が加えられ、その厚さは薄いところで0.1mm缶内部では数μmという薄膜コートで内部の液体とアルミとの反応防止に貢献しています。

加工性の良いアルミ缶ならではという技術として、胴体部の構造設計で強度向上にも貢献しています。アルミ缶は、350mlサイズで約15gと言われ、缶コーヒーのほか缶ビールでも日本ではすっかりおなじみと言えるでしょう。