醤油の色合いや香りはメラノイジンによる

日本人にとって欠かせない味噌や醤油といった調味料の香りや色合いと深く関わっている物質に「メラノイジン」というものがあります。醤油が作られていく過程で酸素を遮断して行われる「熟成」や「火入れ」といったアミノ・カルボニル反応(メイラード反応とも呼ばれています)で生まれることが知られています。このメラノイジンは、醤油の赤褐色という色合いとあの味わいある香りを生み出す元となっており、酸化することで黒ずんだ褐色と化し、香りも損なわれてしまうことが経験上わかっていました。そこで、昔は醤油などは瓶や缶といった酸素を確実に遮断できる容器が使用されていましたが、現代でのプラスチック容器で同じような機能を満足させるためハイバリアー包材が使われています。調理済み食品に添付されている醤油の小袋も、同じように工夫された包材が使われるようになってきました。

醤油の製造過程から知る昔人の技のすごさ

はじまりが安土桃山時代と言われる日本古来の調味料である醤油がもつ香りと風味は、食品包装という視点でみるとなかなか一筋縄ではいかない難しい食材の一つと言っていいかもしれません。この醤油は、昔なら木桶、いまでは大手メーカーでは大きなタンクを使った発酵のうえ、酸素を遮断した熟成を経て、出来上がった「もろみ」から絞り出した液体に「火入れ」という加熱殺菌が施され包装となります。熟成からもろみを絞り、火入れまでを酸素を遮断して行うことで、あの醤油独特な香りや風味、赤褐色という色合いが備わっていきます。この赤褐色は、メラノイジンという色素によるもので、熟成で50%、火入れで残り半分が作られていくことがわかっており、いずれも酸素を遮断したアミノ・カルボニル反応と呼ばれるものです。