香りを味わうお茶には包装形態もいろいろ

食材と包装形態の組み合わせが昔から変わらないものは多く、お茶を例にとると「茶筒」という食卓でお馴染みの金属缶やお店で使われていた木製の「茶箱」、紅茶の「ティーバッグ」などがあります。茶筒は、湿気などを嫌う茶葉には金属というバリアー性の優れた素材が使われ、一方のティーバッグは、アルミ積層フィルムで酸化防止や香りの保持に最適な包装が行われています。さらに、ティーバッグの袋の中には酸化防止効果を高めるため、窒素ガスが充填されており、包材もPE(ポリエチレン)+AL(アルミ箔)+NY(ナイロン)という徹底ぶりです。また、茶筒はプラスチック包材登場後もその優れたガスバリアー性からいまだ使われていますが、金属の容器のなかに「低反応型」と言われる発熱がほとんどない脱酸素剤を入れて劣化を防いでいます。

袋包装でもシールの仕方はいろいろ

日本茶や紅茶といった香りを楽しむ食材の包装によく使われているのが、アルミ箔積層フィルムによるガゼット袋です。マチ付きと言われるガゼット袋は、ロール状に巻かれたフィルムを円筒状にし、縦シールでマチを作った後、食材を投入した後横シールで密封され切り離されるといった工程で製造されています。ガゼット袋のような袋状にした包装には、シールする場所によって分類される2方・3方・4方シールや、喫茶店のテーブルによく置かれている砂糖のスティック包装、ステンティングパウチなどがあります。2方シールはチューブ状にしたフィルムを底→充填→トップとシールするもので、3方シールは折り返したフィルムの開いた3か所がシールされ、4方シールは縦の両サイドと底・トップをシールして作られています。

茶葉はアルミ箔積層フィルムのガゼット袋

食品包装は、昔から食材によっていろいろ特徴ある包装形態が存在していました。現代のように、包装材がプラスチックに置き換わってもそれは変わりません。プラスチックによる食品包装でも、日本茶・紅茶といった茶葉やコーヒーのような粉末状の食材によく使用されているのが「ガゼット袋」と呼ばれるものです。マチ付きの袋という意味合いのガゼット袋という形態にして、酸素や水蒸気といった食材の変質や風味の劣化をアルミ箔積層フィルムで防止している包装です。マチ付きとすることにより、内容量を増やすことが可能となるうえ、最近の食品販売の主要なスーパーマーケットなどでも自立させて陳列できることから、流通面でも好まれる包装形態となっています。さらに、アルミ箔積層フィルムは窒素ガスや二酸化炭素に包装内部の空気を入れ替えてしまう「ガス置換包装」や「脱酸素剤封入包装」などにも活用されています。

プラスチックフィルムあっての削り節包装

食品包装は、食生活の時代の流れも反映させなければいけません。昔なら、ほとんどの食材を購入して調理していたものが、包装容器の進歩とともに調理済みとなる加工食品がスーパーマーケットの陳列棚の多くを占めるようになってきています。このような流れの変化を後押ししたのが、プラスチック包装材の進歩をはじめ食品加工技術、製造技術などです。なかでも、フレッシュさを売り物にした削り節はハイバリアー化した包装材の出現無くしては流通しなかったと言われています。流通し始めた当初の小袋入り削り節は、日本で開発されたとりわけガスバリアー性の優れたエチレン・ビニルアルコール共重体(EVOH)を使うことで、消費者に違和感なく受け入れられました。その後、さらにガスバリアー性が向上したプラスチックフィルムのおかげで、増々食品包装の活用範囲も拡大しています。

小袋が始まりの削り節のプラ包装も変貌

香りと風味が楽しめる削り節は、必要な時使う分だけ削っていた時代は終わり、プラスチック製の袋から使う分を出す時代へと様変わりしています。削り節は、外気が侵入することで外気に含まれる湿気と酸素で、あのふわふわ感はなくなり、酸化で香りや風味が損なわれてしまう、といった非常にナイーブな食材と言っていいでしょう。プラスチック包装材がありとあらゆる食品包装に使われている現代でも、この食材がもつ特色を損ねることは許されません。そこで、削り節のプラスチック包装が登場し始めた当初は、フレッシュパックと呼ばれた一人分程度(5g入り)の小袋包装にすることで、新鮮さを保てるように考えられていました。そのうち、酸素や水蒸気などのバリアー性に優れた素材の出現や窒素ガス置換といった包装技術の導入で、削り節の包装分量も少しずつ拡大されるようになっていきました。

手軽さ優先の時代に即した削り節の包装形態

昔から日本人にとって欠かせない食材に鰹節がありますが、生活の知恵から生まれた長く保存できて使う時は新鮮な香りと味わいを、削り節という形で達成していました。獲った鰹を燻製にすることで水分が抜かれ、表面も硬くなって長期保存が可能でした。削り節にするのも使う時に必要量だけ削ることで特段問題が生じなかった食材も、手軽さ優先の時代に入り、どうしても削り節を包装する形態に変わっていかざるを得なくなってきました。そこで、酸素を遮断する包装材が使われると共に、包装単位を極力少なくする工夫などが生み出されていきました。豆腐に添付される削り節は、一人前程度の量に見合った小袋にしたり、調理のときに使いきれる程度の量にしたりといった現実的な包装が今では行われています。

醤油の色合いや香りはメラノイジンによる

日本人にとって欠かせない味噌や醤油といった調味料の香りや色合いと深く関わっている物質に「メラノイジン」というものがあります。醤油が作られていく過程で酸素を遮断して行われる「熟成」や「火入れ」といったアミノ・カルボニル反応(メイラード反応とも呼ばれています)で生まれることが知られています。このメラノイジンは、醤油の赤褐色という色合いとあの味わいある香りを生み出す元となっており、酸化することで黒ずんだ褐色と化し、香りも損なわれてしまうことが経験上わかっていました。そこで、昔は醤油などは瓶や缶といった酸素を確実に遮断できる容器が使用されていましたが、現代でのプラスチック容器で同じような機能を満足させるためハイバリアー包材が使われています。調理済み食品に添付されている醤油の小袋も、同じように工夫された包材が使われるようになってきました。

醤油の製造過程から知る昔人の技のすごさ

はじまりが安土桃山時代と言われる日本古来の調味料である醤油がもつ香りと風味は、食品包装という視点でみるとなかなか一筋縄ではいかない難しい食材の一つと言っていいかもしれません。この醤油は、昔なら木桶、いまでは大手メーカーでは大きなタンクを使った発酵のうえ、酸素を遮断した熟成を経て、出来上がった「もろみ」から絞り出した液体に「火入れ」という加熱殺菌が施され包装となります。熟成からもろみを絞り、火入れまでを酸素を遮断して行うことで、あの醤油独特な香りや風味、赤褐色という色合いが備わっていきます。この赤褐色は、メラノイジンという色素によるもので、熟成で50%、火入れで残り半分が作られていくことがわかっており、いずれも酸素を遮断したアミノ・カルボニル反応と呼ばれるものです。

アマゾンの戦略と包装について①

アマゾン・ドット・コムは「誰が何を買ったか、それはどんな方法で認識しているのか」ということの詳細を公表はしていません。その概要は公開された特許から推定することができます。日本語の解説も登場しています。入店者は専用のアプリのバーコードスキャンとカメラを使った顔認証で確認されます。買い物は、人の動きと棚に設置された赤外線、圧力、買い物は、人の動きと棚に設置された赤外線、圧力、重量センサーなど多数のセンサーの組み合わせで追跡されています。ICタグは使われていません。また無人店舗というわけではありません。当分は実証実験が続くということです。店内のシステムの複雑さやコストを考えてみると、アマゾン・ゴーによるレジなしの実店舗展開を飛ばして、ホールフーズの買収をアマゾン・ドット・コムの戦略が見えてくると思います。

アマゾン・ドット・コムの実店舗

アメリカにはアマゾン・ドット・コムの実店舗があります。アマゾン・ゴーです。一号店は、アマゾン本社ビルの一階にあります。アマゾン・ゴーは2017年当時、従業員のみが対象で一般客は入ることができませんでした。その店員の服装は短パンにポロシャツというカジュアルなものでOKだそうです。本社ビルの間の階段式広場ではバンド演奏が行われていて、従業員がランチタイムを楽しんだりできます。さらにその周りには犬がたくさん戯れているといいます。これは犬同伴でオフィスで働くことができるからです。店内はランチタイム時であれば賑わっています。買い物客の多くは一部店内調理のランチボックスを手にして、レジなしのゲートを通って外に出てきます。一般市販と同じものも置いてあるとのことです。このシステムは日本にもやがて来るはずです。